短歌厚木水甕 澪の会

神奈川県厚木市の短歌会「澪の会」のブログです

*各評は講師の砂田や会の皆様から出た意見をブログ管理人(畠山)が独自にまとめたものです。各歌の著作権は各作者にあり、ブログ内で例として挙げた歌で著者名を記していないものの著作権は私(畠山)にありますので、そのまま真似してどこかに投稿したりは絶対にしないでくださいね。尚、「こう直したらどうでしょう・こんな感じに歌ってみたらどうでしょう」として書いている歌はその歌の原作者様(各歌の()内の名前の方)に著作権があるものとします。

◆どんな感じでやってるの?

厚木澪(みお)の会は歌会形式の短歌サークルです。

短歌結社「水甕」http://mizugame100.web.fc2.com/ の支部という位置付けなので、なるべく水甕社に入会していただき(入会費千円、普通会員費半年六千円)、短歌の投稿(毎月10日締め切り)をしていただきたいです。

 

厚木澪の会ではまずは一人二首の歌を事前(歌会の一週間前まで)に送ってもらいます。

題は自由題です。

ネタ探しのために日々の風景や行動を今までよりちょっと気にして観察してみて下さい。

そして「あっ」と気付いたこと、「おお」と思った場面を五七五七七の音数に当てはまるように言葉を探し、組み立てましょう。

音数というのは口で発する音の数で、書いた時の文字の字数ではありません。

例えば「あっと」なら三音、「しゅみ」なら二音と数えます。

でもどうしても五六五八七になっちゃう!なんてこともあるかもしれません。

毎回それでは困りますが、ちょこっとならそれでも構いません。

目安としては一首の中では2か所まで、回数としては4~5首に一度くらいまでで抑えて欲しいところです。

あと字足らず(少ない)よりは字余り(多い)の方が読んだ時に自然な場合が多いです。

更に言うなら結句(最後の七)はなるべく「七」できちっと止めたいところ。

最後が七八になるようなら入れ替えて八七で終えた方がスッキリすることが多いです。

 

そうして事前に送っていただいた短歌をこちらで作者を伏せてプリントし、当日配ります。

 

誰が詠んだのか分からない状態で、他の人が詠んだ歌を順番に声に出して読んでもらい、まずどういう状況・情景を歌ったものか分かったか分からないか、それとちょっとした感想を述べてもらいます。

 

さて、分かる歌なら良いですね。

この状況をこう表現するとは素晴らしい!私もこの気持ち、実感できます!この場面が目に見えるようです!

と共感してもらえる歌だったら文句なしです。

 

果たして問題は「分からない」場合。

短歌は日記ではないので「作品」として作るなら「その情景、状況を見ていない他者にも作者と同じ感動(共感)をしてもらえるように言葉を探り、神話の時代から続く五七五七七という日本人が直感的に持つリズムにまとめる」必要があります。

 

たった三十一音で!!

 

そうなんです。ここが難しいのです。

「日記ではない」。自分だけが分かっていればいいやの自己満足ではいけないのです。

でも作者はその歌を作った時点で情景も感情も「分かってしまっている」ので、まっさら何も知らない状態で作品を見ることができず、どこが分かりにくいのか、何故伝わらないのかになかなか気付くことができません。

そこを歌会で指摘してもらうことで作者と読者の頭に浮かぶ情景や感情のズレを修正していくことが大事なのです。

えっ、ここ、そういうふうに取られちゃうんだ?と驚くことは多々あります。

でもそれこそが歌会の意味なのです。

まっさら情報がない他者に見てもらい、どう直せば伝わるかを探るのです。

なので「私の歌、全然理解してもらえない!なんで分からないの?みんな頭悪いんじゃないの?」などと思ってしまうようならいつまでたっても上達できませんし、歌会に出る意義は全くないので注意しましょう。

 

さて初心者が陥りがちな問題は「言いたいことが多い!」です。

最初の内はなるべく「瞬間」を切り取ることを意識しましょう。

なにせ三十一音しかないのです!

短歌は心が動いた情景を言葉にして表すものですが、動画のように物事の前後、時間経過まで入れようとすると無理がでてきます。

他者に分かるよう丁寧に丁寧にと思って入れた説明描写で視点が動いてしまい、場面にブレが生じ、逆効果になる事が多々あります。

瞬間を切り取ることを意識して、視点をあちこちに移動させず、題材を絞って作りましょう。

短歌は言葉で描く絵手紙(葉書)と思うとイメージしやすいかもしれません。

一首に入れられる情報容量が掴めて来たらまずは初心者脱却ですね!

 

☆自分の感動を読者にも追体験してもらえる表現を探る。

☆場面切り取りはスッパリと瞬間を。

 

この二つを意識して五七五七七にまとめてみましょう。